どの場面にも共通する原則は、中核症状とBPSDで説明したとおり、行動の裏にある理由(不安・体調・環境)を探すことです。そのうえで、場面別のヒントを紹介します。
同じことを何度も聞く
- 本人にとっては毎回「初めての質問」です。答えを変えず、穏やかに同じ答えを返すのが基本
- 時計・カレンダー・ホワイトボードに答えを書いて指させるようにすると、お互いに楽になります
- 聞く回数が急に増えたときは、不安の高まりのサイン。話題を変えて安心できる活動(お茶、散歩、昔の話)に誘ってみましょう
「財布を盗られた」(物盗られ妄想)
- いちばん身近で世話をしている人が疑われやすい症状です。あなたの介護が悪いからではありません
- 否定も説得も逆効果。「それは大変!一緒に探しましょう」と探すことに付き合います
- 見つけたとき、本人が自分で発見できるようにさりげなく誘導すると、自尊心が守られます
- よくしまい込む「定位置」を介護者が把握しておくと探す時間が減ります
「家に帰ります」(帰宅願望・夕暮れ症候群)
- 「帰りたい家」は昔の家や、安心できた時代の象徴であることが多いです
- 引き止めるより「じゃあお茶を飲んでから」「駅まで一緒に」と付き合ううちに、気持ちが移ることがよくあります
- 夕方に多い場合は、夕方前から照明を明るくする、役割(洗濯物たたみ・夕食の手伝い)をお願いする、が有効です
お風呂に入りたがらない
- 理由はさまざま:服を脱ぐ寒さ・転倒の怖さ・裸を見られる羞恥心・入浴の手順がわからない
- 「入りなさい」ではなく「温泉の素をもらったので試しませんか」「先にお湯だけ見てください」と入り口を小さく
- 時間帯・声をかける人を変えるだけで入れることもあります
- どうしても難しい日は無理をせず、蒸しタオルで清拭でも十分です。デイサービスの入浴を利用する家庭も多くあります
外に出て道に迷う
- 完全に閉じ込めることは本人の混乱と体力低下を招きます。安全に歩ける形を作る方向で考えましょう
- 市区町村の「見守りSOSネットワーク」「GPS端末の貸与・補助」に登録できます(窓口:地域包括支援センター)
- 靴・杖・衣類に名前と連絡先を。QRコード付きの見守りシールを配布する自治体もあります
- ご近所に事情を伝えておくと、見かけたときに声をかけてもらえます
食べたのに「ご飯はまだ?」
- 食べた記憶が抜けている+満腹感が得られにくくなっている、両方が理由です
- 「さっき食べたでしょ」は不安と怒りを招くだけ。「いま準備していますね」と返し、小さなおにぎりや果物を出す家庭が多いです
- 一日の総量を守れば、少量ずつ回数を分けても構いません
介護に抵抗する・怒りっぽくなった
- 急な変化のときは、まず痛み・便秘・脱水・薬の副作用を疑ってください。体の不調が言葉にできず、行動に出ていることが非常に多いです
- 対応がつらいときは我慢比べをせず、かかりつけ医・ケアマネジャーに相談を。薬の調整やサービスの追加で状況が変わることがあります
このページは一般的な情報の提供を目的としたものです。急な症状の変化は体の病気が隠れていることがあります。早めに医療機関にご相談ください。