「介護者が倒れたら、介護は終わる」
これは脅しではなく、ケアの現場でいちばん大切にされている原則です。飛行機の酸素マスクと同じで、まず自分に、それから隣の人に。自分のケアを後回しにすることは、長い目で見れば本人のためにもなりません。
危険なサインに気づく
次のうち複数が2週間以上続いていたら、それは「頑張りが足りない」のではなく休養と助けが必要なサインです。
- 眠れない、食欲がない
- 涙が勝手に出る、感情が動かなくなった
- 本人に手を上げそうになる・怒鳴ることが増えた
- 「自分さえ我慢すれば」と考えることが増えた
- 楽しかったことに興味がなくなった
このサインが出たら、かかりつけ医(あなた自身の)や地域包括支援センターに、そのまま伝えてください。「介護者がつらい」は、立派な相談理由です。
具体的にできること
1. 介護を「引き受けすぎない」仕組みを作る
- デイサービスとショートステイは、本人のためであると同時にあなたの休息(レスパイト)のための正式なサービスです。罪悪感を持つ必要はまったくありません
- 「毎月第2週はショートステイ」のように定例化すると、予定が立ち、罪悪感も薄れます
2. ひとりで抱えない体制を作る
- きょうだい・親族と「できること・できないこと」を早めに話し合う。遠方の家族には金銭負担や事務手続きなど距離があってもできる役割を
- 家族会や認知症カフェで、同じ立場の人と話す。「わかってもらえた」という体験は何よりの薬です
- 職場に介護を伝え、介護休業制度・介護休暇(法律で定められた権利です)を確認しておく。「介護離職」は収入と社会とのつながりを同時に失うため、決断の前に必ず若年性認知症支援コーディネーターや地域包括支援センターに相談を
3. 自分の時間を「予定」として確保する
- 「時間ができたら休む」では、永遠に休めません。先に自分の予定(散歩・美容院・友人とのランチ)をカレンダーに入れ、その時間のためにサービスを使ってください
- 15分の散歩、湯船に浸かる、好きな音楽——小さな回復の積み重ねが効きます
4. 完璧な介護を目指さない
- イライラしてしまった夜、優しくできなかった朝。それはあなたが冷たいからではなく、疲れているからです
- 「60点で続く介護」は「100点で倒れる介護」に勝ります
気持ちを話せる場所
- 認知症の人と家族の会: 0120-294-456(平日10:00〜15:00)。介護経験者が電話で話を聞いてくれます
- 地域の家族会・認知症カフェ: 相談窓口ガイド参照
- 心身の不調が続くときは、あなた自身が医療機関(心療内科を含む)を受診してください
あなたの健康は、介護の「資源」である前に、あなた自身のものです。どうか大切にしてください。