症状はふたつに分けられます

認知症の症状は、大きくふたつに分けて考えると整理しやすくなります。

中核症状BPSD(行動・心理症状)
何か脳の障害によって直接起こる症状中核症状に環境・体調・気持ちが重なって現れる症状
もの忘れ、時間や場所がわからない、段取りが立てられない不安、抑うつ、妄想、徘徊、介護への抵抗、暴言
経過誰にでも起こり、進行とともに強まる人によって出方が大きく違い、関わり方や環境で軽くできる

中核症状 — 「できなくなったこと」を知る

  • 記憶障害: 新しいことが覚えられない。直前の出来事が抜け落ちる
  • 見当識障害: 今日が何日か、ここがどこか、目の前の人が誰かがわからなくなる
  • 実行機能障害: 料理の段取りなど、手順を組み立てることが難しくなる
  • 失語・失認・失行: 言葉が出にくい、物の使い方がわからなくなる

中核症状そのものを叱ったり訓練で「治す」ことはできません。「できなくなったこと」は環境と周囲のサポートで補うのが基本です。

BPSD — 「困った行動」には理由がある

BPSDは、本人なりの理由がある「SOSのサイン」として現れることがほとんどです。

たとえば「財布を盗られた」という物盗られ妄想は、記憶障害(しまった場所を忘れる:中核症状)に、「大切なものを失う不安」や「頼れる人が身近にいる安心感の裏返し」が重なって起こります。

BPSDが強くなったときのチェックポイント:

  1. 体調: 痛み・便秘・脱水・発熱・薬の副作用はないか(体の不調はBPSDの最大の引き金です)
  2. 環境: 引っ越し・入院・騒音・暑さ寒さなど、変化がなかったか
  3. 気持ち: 不安・退屈・役割を失った寂しさを抱えていないか
  4. 関わり方: 急かされたり、間違いを指摘されたりする場面が増えていないか

具体的な場面別の対応は 困りごと別の対応ガイド にまとめています。

この区別が、介護者を守ります

「病気のせいで起きていること(中核症状)」と「工夫で減らせること(BPSD)」を分けて見られるようになると、「私の介護が悪いからだ」と自分を責める必要がないことがわかります。BPSDがつらいときは一人で抱えず、かかりつけ医・ケアマネジャー・相談窓口に早めに相談してください。


このページは一般的な情報の提供を目的としたものです。症状が急に強くなった場合は、体の病気が隠れていることがあるため、早めに医療機関にご相談ください。