認知症は「状態」の名前です

認知症とは、いろいろな原因で脳の働きが低下し、記憶や判断などの力が日常生活に支障をきたすほど落ちてしまった「状態」を指します。原因となる病気はひとつではなく、70種類以上あるといわれています。

「歳のせいの物忘れ」との違いは、体験の一部を忘れるか、体験そのものを忘れるかです。夕食のメニューを思い出せないのは加齢による物忘れ、夕食を食べたこと自体を忘れてしまうのは認知症のサインかもしれません。

代表的な4つのタイプ

アルツハイマー型認知症

もっとも多いタイプで、認知症全体の6〜7割を占めます。脳にアミロイドβというたんぱく質がたまり、神経細胞が少しずつ傷んでいくことが原因と考えられています。

  • 特徴: 新しいことを覚えられない「もの忘れ」から始まり、ゆっくり進行します
  • 接し方のヒント: 本人は「忘れた」自覚がないことが多いので、間違いを正すより、安心できる声かけを優先しましょう
  • 早期であれば進行を遅らせる薬(治療薬の基礎知識)の選択肢があります

血管性認知症

脳梗塞や脳出血など、脳の血管の病気が原因で起こります。

  • 特徴: 障害された脳の場所によって症状が異なり、「できること」と「できないこと」の差がはっきりしている(まだら認知症)ことがあります
  • 接し方のヒント: 段差のない生活リズムと、再発予防(血圧管理・服薬)が大切です

レビー小体型認知症

レビー小体という物質が脳にたまることで起こります。

  • 特徴: 実際にはいない人や虫が見える「幻視」、日によって調子の波が大きい、体が硬くなり転びやすい(パーキンソン症状)、睡眠中に大声を出す・暴れる、といった症状が特徴です
  • 接し方のヒント: 幻視を頭ごなしに否定せず、「怖かったね」と気持ちを受け止めてから、部屋を明るくするなど環境を整えると落ち着くことがあります
  • 薬に敏感に反応しやすいタイプなので、処方の際は必ず「レビー小体型」であることを医師・薬剤師に伝えましょう

前頭側頭型認知症

脳の前頭葉・側頭葉が萎縮するタイプで、比較的若い年代(若年性認知症)でも発症します。

  • 特徴: もの忘れよりも、人柄が変わったように見える、同じ行動を繰り返す、身だしなみに無頓着になる、といった行動の変化が先に目立ちます
  • 接し方のヒント: 「わざとやっている」のではなく病気の症状です。決まった行動パターン(常同行動)は無理に止めず、安全な形で続けられるよう工夫するとお互いに楽になります

タイプを知ることが、ケアの出発点

同じ「認知症」でも、タイプによって困りごとも有効な接し方も違います。診断を受けたら、まず「どのタイプか」「いま何が苦手になっているか」を医師に確認しておくと、日々のケアの見通しが立てやすくなります。

症状の詳しい整理は 中核症状とBPSD を、受診の手順は 受診の流れと診断 をご覧ください。


このページは一般的な情報の提供を目的としたもので、医学的な診断に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、かかりつけ医やもの忘れ外来にご相談ください。